投資信託を持っていると、決算のたびに「分配金」を受け取ることがあります。実はこの分配金、税金の扱いで2種類に分かれます。もうけから支払われた分=普通分配金(課税)、自分が払ったお金が戻ってきただけの分=特別分配金(非課税)です。
「特別」と聞くとお得そうですが、正体はただの払い戻しです。もうけではないので、税金がかからない——理由はそれだけです。だから正式には元本払戻金という名前がついています(この記事でも、以下は元本払戻金と書きます)。
FP試験では「受け取った分配金のうち、いくらが普通分配金で、いくらが元本払戻金か」を計算させる問題が定番です。次の3ステップで解けます。

見分け方は3ステップ
1. 分配落ち後の基準価額を出す(分配前の基準価額 − 分配金) 2. 個別元本(あなたの買値)と比べる 3. 落ち後が個別元本以上なら全額が普通分配金。下回っていたら、下回った分だけが元本払戻金で、残りが普通分配金
個別元本とは、その投資信託を買ったときの値段(買値)のことです(1万口あたり。複数回買ったときは平均します)。※いまの値段である基準価額とは異なります。買値は人によって違うので、同じファンドの同じ分配金でも、内訳は人によって変わります。だから内訳を計算する問題では、個別元本が問題文に出てきます。
数値例:1本のバーで見る
例:分配前の基準価額12,800円、分配金1,200円、個別元本12,000円
1. 落ち後 = 12,800円 − 1,200円 = 11,600円 2. 個別元本12,000円と比べる → 400円下回った 3. 元本払戻金 400円(非課税)。残りの800円が普通分配金(課税)
バーの右端が、分配前の基準価額12,800円です。ここから分配金1,200円が支払われます。個別元本12,000円のラインが、もうけと元本の境目。ラインより右の800円はもうけから出ているので普通分配金、ラインより左に食い込んだ400円は元本の払い戻しです。残った11,600円が、分配落ち後の基準価額になります。
元本払戻金を受け取ると、個別元本も下がる
分配で下がるのは、基準価額(12,800円 → 11,600円)だけではありません。それとは別に、買値(個別元本)のほうも、元本払戻金の分だけ下げて考え直します。元本の一部が返ってきたのだから、買値がその分だけ安くなった、という扱いです。
新しい個別元本 = 12,000円 − 400円 = 11,600円
連続して分配がある問題では、次の回はこの新しい個別元本で判定します。なお、普通分配金を受け取っても、個別元本は変わりません。
補足:NISA・タコ足分配・国内ETF
- ・NISA口座なら、普通分配金も非課税になります(元本払戻金は、もともと課税の対象外)
- ・元本払戻金が続く分配は、俗に「タコ足分配」と呼ばれます。ただし区分は受益者ごとの買値で決まるので、元本払戻金が出た=運用成績が悪い、とは言い切れません
- ・国内ETFには普通分配金と元本払戻金の区分がなく、分配金は全額が配当所得です(試験で狙われる例外)
試験でのポイント(ひっかけ注意)
1. 「特別分配金は配当所得として課税される」は誤り。非課税です。課税されるのは普通分配金 2. 「普通分配金を受け取ると個別元本が減る」は誤り。減るのは元本払戻金を受け取ったときだけ 3. 比べるのは分配落ち後の基準価額と個別元本。分配前と比べたり、単純に半分ずつに分けたりしない 4. 分配前から基準価額が個別元本以下なら、分配金の全額が元本払戻金(普通分配金は0円) 5. 「国内ETFにも特別分配金がある」は誤り。国内ETFの分配金は全額が配当所得
まとめ
- ・見分け方:①落ち後の基準価額を出す → ②個別元本と比べる → ③下回った分だけが元本払戻金
- ・理由はシンプル:もうけは課税、払い戻しは非課税
- ・元本払戻金を受け取ったら、その分だけ個別元本が下がる