相続人全員で話し合って「誰が何を相続するか」を決め、その結果を書き残した合意の書面です。不動産の名義変更や預金の解約などの手続で使います。
作り方のポイント
- ・法律で決まった書式はなく、家庭裁判所へ提出する必要もありません。相続人全員の署名・押印がそろえば有効に成立します。
- ・全員の合意なので、法定相続分と違う分け方をしても構いません(一人でも欠けると無効)。
- ・話し合いが調わないときは、家庭裁判所の調停へ進みます。調停でもまとまらなければ審判で決めてもらいます。
相続登記の申請義務化(2024年4月から)
- ・不動産を相続で取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。
- ・遺産分割が成立したときは、成立日から3年以内にその分割内容の登記も必要です。
- ・正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
- ・3年以内の登記が難しいときは、相続人申告登記で義務を果たせます(単独で申出でき、登録免許税もかかりません)。
- ・施行日前に開始した相続も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。
住所・氏名の変更登記も義務化(2026年4月から)
- ・登記名義人の住所や氏名が変わったときは、2年以内に変更登記を申請する義務があります。
- ・正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。
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分割の禁止と効力の遡及
- ・一定期間、遺産を分けないでおくこともできます。遺言による分割禁止・相続人間の分割禁止契約はいずれも5年以内(契約は更新でき通算10年まで)。家庭裁判所も特別の事情があれば5年以内で禁止・更新できます。
- ・遺産分割の効力は相続開始の時にさかのぼって生じます(遡及効)。ただし、それによって第三者の権利を害することはできません。
相続に関する登記の申請義務(表)
遺産分割の結果は、不動産では相続登記に反映します。近年、相続登記や住所・氏名変更の登記が申請義務化されました。期限と過料を表で押さえます。
表:相続に関する登記の申請義務(相続登記は2024年4月〜/住所・氏名変更は2026年4月〜)
3年以内の相続登記が難しいときは、相続人申告登記で義務を果たせます(単独で申出でき、登録免許税もかかりません)。ただし、遺産分割が成立した後の「分割内容に応じた登記」の義務は、相続人申告登記では果たせません。
分割の方法:現物・換価・代償
遺産の分け方には、主に3つの方法があります。どの方法によるかも協議で決められます。
表:遺産分割の3つの方法
代償分割で受け取る代償金は、遺産分割の一環なので贈与税ではなく相続税の計算に取り込まれます。ただし、代償として現金の代わりに自分の土地などを渡した場合、渡した人に譲渡所得の課税が生じ得ます。
協議のやり直しと注意点
遺産分割協議は相続人全員の合意で成立します。成立後の扱いには注意が必要です。
- ・いったん有効に成立した協議を合意解除して分け直すと、分け直しによる財産の移転は贈与や譲渡として課税され得ます(相続税の再計算にはなりません)
- ・協議に参加すべき相続人が欠けていた場合など、協議自体が無効なら、改めて全員で協議し直します
- ・未成年の子と親がともに相続人の場合は利益相反になるため、子のために家庭裁判所へ特別代理人の選任を請求します
「全員で合意すればいつでも相続税ベースで分け直せる」と考えるのは危険です。有効に成立した後の分け直しは、新たな財産の移転として扱われるのが原則です。
⚠️ 試験のひっかけポイント
- ・
「遺産分割協議書は法定の書式に従い家庭裁判所へ提出しなければ無効」は誤り。書式は自由で、相続人全員の署名・押印がそろえば有効に成立する
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相続登記の申請期限を「5年以内」等とするのは誤り。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内(遺産分割成立時は成立日から3年以内)
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「遺産分割の効力は分割が成立した時から生じる」は誤り。効力は相続開始の時にさかのぼって生じる(ただし第三者の権利は害せない)
執筆・編集:コツコツFP編集部/編集長:Taro
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