老齢基礎年金では拾いきれない厚生年金の期間を、あとから埋め合わせる上乗せです。65歳以後の老齢厚生年金にプラスされます。
なぜ埋め合わせが要るのでしょうか。老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間しか計算に入れません。しかし会社員は、高卒で18歳から働いたり、60歳を過ぎても在職したりと、この枠の外でも厚生年金保険料を払っていることがあります。この「はみ出した期間」は、保険料を払っても老齢基礎年金には反映されません。その払い損を埋めるのが経過的加算です。
もうひとつの顔が、65歳の「段差」をなくす役割です。65歳前の特別支給には定額部分があり、65歳でこれが老齢基礎年金に切り替わります。定額部分のほうがやや多いため、放っておくと65歳で受取額が下がります。その差も経過的加算が埋めています。
計算式は「定額部分の額 − 老齢基礎年金に反映される額」です。
計算式の中身:どの期間が「差」になるのか2級からひらく ▼とじる ▲
経過的加算は、定額部分相当額 − 厚生年金期間に対応する老齢基礎年金相当額で計算します。
- ・定額部分相当額:定額単価 × 厚生年金の加入月数(上限は原則480月)
- ・老齢基礎年金相当額:老齢基礎年金の満額 × 20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数 ÷ 480
差が生まれる理由は、2つの計算に入る期間の範囲が違うからです。
表:厚生年金期間の反映範囲の違い
定額部分の月数には上限があるため、加入が長いほど青天井に増えるわけではありません。
具体例:18歳から65歳までずっと会社員なら2級からひらく ▼とじる ▲
老齢基礎年金として計算されるのは20〜60歳の40年分だけです。枠からはみ出す「18〜20歳」の2年と「60〜65歳」の5年(合計7年)は、基礎年金に反映されません。
この7年分の厚生年金期間を拾い上げて上乗せするのが経過的加算です。60歳以降も厚生年金に加入して働く人ほど、この加算が効いてきます。
ただし、定額部分相当額の月数が上限の480月に達すると、それ以上働いても経過的加算は増えません。
在職老齢年金との関係2級からひらく ▼とじる ▲
65歳以降も働き、在職老齢年金による支給停止がかかる場合でも、経過的加算は支給停止の計算対象に含まれません。
停止の対象になるのは報酬比例部分です。経過的加算と加給年金額は、報酬比例部分が全額支給停止になったときにはじめて支給されなくなります。
60歳以降の在職期間は、退職時改定や65歳時の改定を通じて経過的加算の対象月数を増やします(上限480月まで)。働きながら年金額を育てる効果がある、と整理しておきます。
⚠️ 試験のひっかけポイント
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「経過的」という名前から〈移行期の世代だけの制度〉と思い込むのは誤り。20歳前や60歳以後に厚生年金加入がある人なら将来世代でも生じる恒久的な調整で、特別支給を受けるかどうかとは別に発生する。
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計算式を「老齢基礎年金 − 定額部分」と逆に覚えない。正しくは定額部分の額 − 老齢基礎年金に反映される額で、定額部分のほうが大きいから差額が上乗せになる。
執筆・編集:コツコツFP編集部/編集長:Taro
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