長く住んだマイホームを買い換えたとき、売却益への課税を将来に先送りできる特例です。
これは非課税ではなく、課税の繰延べです。将来、買換資産を売るときに、繰り延べた分が課税されます。3,000万円特別控除や軽減税率とは選択適用で、併用できません。
主な要件(2026年度基準)は次のとおりです。
- ・譲渡する家…譲渡した年の1月1日時点で所有期間10年超・居住期間10年以上、譲渡対価が1億円以下。
- ・買い換える家…居住用の床面積50㎡以上・敷地500㎡以下。中古の耐火建築物は取得の前25年以内に建築されたもの(新耐震基準に適合していれば築年数は問わない)。
買換価額が譲渡価額以上か、下回るかで今回の課税が変わります。買換価額が譲渡価額以上なら全額を繰り延べ、下回れば差額分だけ今回課税されます。
主な適用要件の早見表2級からひらく ▼とじる ▲
この特例は要件が多く、譲渡する家と買い換える家の両方に条件があります。
適用できるのは2027年12月31日までの譲渡です(延長を重ねている時限措置)。3,000万円特別控除・軽減税率の特例・住宅ローン控除とは併用できず、選択適用になります。
計算例:1億円で売って7,000万円の家に買い換えた場合2級からひらく ▼とじる ▲
買換価額が譲渡価額を下回ると、差額部分だけがその年に課税されます。
前提:譲渡価額1億円、買換価額7,000万円、取得費1,000万円、譲渡費用500万円
- ・収入金額=1億円−7,000万円=3,000万円
- ・必要経費=(1,000万円+500万円)×(3,000万円÷1億円)=450万円
- ・課税される譲渡所得=3,000万円−450万円=2,550万円
取得費と譲渡費用は全額ではなく、収入金額に対応する割合分だけを差し引く点が特徴です。買換価額が譲渡価額以上なら、その年に課税される譲渡所得はなく、全額が繰り延べられます。
繰延べの意味:買換資産の取得費が引き継がれる2級からひらく ▼とじる ▲
繰延べとは、課税が消えるのではなく将来へ移ることです。買換資産の取得費は実際の購入額ではなく、譲渡資産から引き継いだ低い取得費を基に計算されます。そのため、将来買換資産を売却したときに、繰り延べた利益もまとめて課税されます。
- ・目先の税負担を抑えたいなら買換えの特例、税額を確定させたいなら3,000万円特別控除+軽減税率、という比較の視点が実技で問われます
- ・「売却益が非課税になる」と書かれた肢は誤り、が定番の出題です
⚠️ 試験のひっかけポイント
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「この特例で売却益は完全に非課税になる」は誤り。これは非課税ではなく課税の繰延べで、将来その買換え先を売るときに繰り延べた分が課税される
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譲渡対価の要件を「2億円以下」とするのは誤り。正しくは1億円以下。所有期間・居住期間も10年が基準
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「3,000万円特別控除や軽減税率と併用できる」は誤り。買換えの特例とこれらは選択適用(併用不可)で、どちらか一方を選ぶ
執筆・編集:コツコツFP編集部/編集長:Taro
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