オーナー社長が持つ取引相場のない株式(自社株)の相続税評価額を、合法的に下げておくための対策です。自社株は評価額が高くなりがちで、そのままだと後継者の相続税負担が重くなるため、生前に手を打ちます。
代表例:役員退職金の支給
- ・オーナー社長へ適正額の役員退職金を支給すると、会社の利益や純資産が減り、自社株式の相続税評価額を引き下げる方向に働きます。ただし実際にどれだけ下がるかは、評価方式・評価の時期・資産構成などで変わるため、個別の試算が必要です。
- ・死亡退職金として遺族に支払えば、後継者の相続税の納税資金になり、さらに500万円×法定相続人の数の非課税枠も使えます。
- ・適正額の役員退職金は、法人税の計算上損金に算入できます(過大な部分は損金不算入)。
ここが狙われる
- ・「役員退職金の支給で評価額が引き上がる」は誤り。利益・純資産が減るので引き下げる方向に働きます。
なぜ役員退職金で株価が下がるのか2級からひらく ▼とじる ▲
非上場株式の原則的評価は、類似業種比準方式(配当・利益・純資産の3要素で比準)と純資産価額方式の組合せで行います。適正額の役員退職金を支給すると、多額の費用計上で利益と純資産が同時に減り、どちらの方式でも評価額を引き下げる方向に働きます。
退職金の適正額は、実務では功績倍率法(最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率)を目安に算定します。適正額を超える部分は、法人税の計算上損金不算入です。
死亡退職金・弔慰金で納税資金をつくる2級からひらく ▼とじる ▲
オーナー社長の死亡退職金は、後継者の相続税の納税資金になると同時に、非課税枠を使えます。
- ・死亡退職金:死亡後3年以内に支給が確定したものはみなし相続財産となり、500万円×法定相続人の数まで非課税
- ・弔慰金:業務上の死亡は普通給与の3年分、業務外の死亡は半年分まで相続税がかからない(超える部分は退職手当金として扱う)
会社側では適正額が損金になり、遺族側では非課税枠を使えるため、退職金の支給は「株価引下げ」と「納税資金の確保」の両面で働きます。
対策の全体像と注意点2級からひらく ▼とじる ▲
評価の引下げは、それ自体が目的ではありません。評価が下がったタイミングで自社株を後継者へ移転するための準備です。生前贈与・譲渡や、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予(事業承継税制)と組み合わせて使います。
実際にどれだけ評価が下がるかは、会社規模・評価方式・資産構成で大きく変わるため、支給前の個別試算が欠かせません。退職の実態がない形式的な退職金は、損金算入自体が否認されるおそれがあります。
⚠️ 試験のひっかけポイント
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「役員退職金の支給で自社株の相続税評価額が引き上がる」は誤り。利益・純資産が減るので引き下げる方向に働く
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「適正額を超える役員退職金も全額が損金になる」は誤り。過大な部分は損金不算入(適正額の範囲で損金算入)
執筆・編集:コツコツFP編集部/編集長:Taro
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